Archive for September of 2010

『江戸川乱歩短篇集』

September 03, 2010
毎度、建築・建設業・職人の求人情報サイト職人さんドットです。

先日はじめて江戸川乱歩の小説を読んでみました。

江戸川乱歩といえば怪人二十面相などの少年向けの作品が必ず

小学校の図書館においてあり、どうも私はあの挿絵が好きになれず

一度も読んだことがありませんでした。



あれから数十年、映画が好きで江戸川乱歩原作の作品をいくつか観る

機会がありましたが、どれもおどろおどろしい映像に内容。

あれ、どうも学生時代にイメージしていた作品と違う。一度読んで

みたいとと思いながら読む機会がありませんでした。

ところが先日図書館に行った時に偶然目に留まったのがこの作品

『江戸川乱歩短篇集』。 これなら読み易そうなので借りてみました。



ほとんどが大正時代の作品ですが、どれも読み応え充分。

純粋な推理系小説あり、かなりきわものの怪奇系小説ありと色々な

味わいを得ることができます。

推理系小説では 『屋根裏の散歩者』 あたりが面白かったですが、

もっともインパクトがあったのが 『人間椅子』。

人間が潜んでいる“椅子”を中心に話がすすんでいくのですが

よくこんなシチュエーションを考え、物語として完成させることできる

ものだと感心してしまいました。 とくに最後の “落ち” にはやられました。

またこの本の中にはなく、江戸川乱歩の代表作とされる 『芋虫』 というのも

読んでみましたが、 これがまたかなり怪奇系というか悪趣味というか

かなり際物というか。 常人では考えつかないストーリーです。

逃げ場のない究極の状態での人間の奥底に潜む愛憎と残虐性を

想像することすらためらうようなシチュエーションで描いています。

それに放送禁止用語が満載です。 参りました。

このような作品を創作できる作家 “江戸川乱歩”に脱帽です。

多くの作品を読んでいるわけではありませんが、この方の作品のテーマは

すべて “閉鎖性” にあるような気がします。

閉鎖によって生まれる人間の感覚。 かなり闇の世界です。



日本を代表する作家なので、一度は読んでみてはどうでしょうか。

ただしこの世界にどっぷり嵌るのはちょっと危険なような気がしますが。

江戸川乱歩